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アレルギーは、なぜ起きるのだろう?
春になると花粉症に悩まされる、特定のものを食べると蕁麻疹が出てしまう…。これらはアレルギーの一つです。
アレルギーとは、体に対する異物(抗原、アレルゲン)を排除しようとする働き「抗原抗体反応」によるもの。本来、生体にとっては必要な免疫反応が過剰になり、不利益になってしまう状態です。
アレルギーは、1型~4型に分類され、10分前後で症状があらわれる1型(即時型)は、花粉症、蕁麻疹、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などが知られています。
また、時間が経過してから反応があらわれる4型(遅延型)には、アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)があります。
典型的な接触性皮膚炎である「化粧かぶれ」の原因は、大きく分けて2つ。「刺激」と「アレルギー」です。
皮膚に接触したものの刺激(毒性)によって起こる皮膚炎。たとえば、アルコール、強酸、強アルカリ、摩擦などによる刺激が、ある一定以上になるとほとんどの人に起こります。
Point
刺激によるかぶれは、その時の肌の状態に左右されます。たとえば、体調や季節の影響で肌が不安定な時、バリア機能が低下している時、むだ毛処理などで皮膚に傷がある時には、症状が出やすいといえます。
体内の抗体が異物(アレルゲン)を排除しようとして起こる皮膚炎。濃度や量が極めて少なくても、その異物に拒絶反応を起こす人に限って症状が現われます。
Point
アレルギーによるかぶれは、その時の肌の状態に関係なく生じます。症状が治まっても一旦アレルゲンに接触すると、同じような反応を繰り返します。
どちらの場合も、赤み・かゆみ・ほてり・
腫れなど、症状そのものは似ています。
ただし、原因が刺激かアレルギーかの
見極めは大変むずかしいので、
皮膚科専門医にご相談することを
おすすめします。
化粧品の使用を中止して、皮膚科専門医の適切な治療を受けましょう。
低刺激性の石けんなどで肌にのせた化粧品を取り除く、ほてりがあれば水でひやしたタオルで熱をとる、などの応急ケアはできますが、素人療法は悪化のもと。皮膚科専門医を訪れて適切な治療をうけましょう。
Point
問診の際には、いつ、どんな状況で、どんな症状になったか、をできるだけ詳しく説明することが大切。
症状が治まっても、原因がわからなければ再発する可能性があります。
何を使ったときに悪くなったか、何を使ったときは大丈夫だったか、ひとつひとつ確認していくことで、原因を調べることができます。
また、かぶれた原因物質が何かを調べる「パッチテスト」という方法を実施している皮膚科もあります。
パッチテストとは?
パッチテストとはかぶれの原因物質を調べるための方法の1つです。
そのうち、皮膚科でよく行われているのは、「クローズドパッチテスト」といわれる方法です。
まず、かぶれの原因として疑わしい物質を塗布した絆創膏を2日間、背中の平らな部分に貼ります。この間、体をふく程度ならよいのですが、入浴することはできません。
絆創膏をはがしたあと、2日後、3日後、一週間後にわたって、その反応を調査。
アレルゲンがあればすぐに反応が出ると思いがちですが、アレルギーを起こす抗原抗体反応が体内で成立するためには数日を要する場合もあります。そのため、期間を置いて3回にわたって反応を調べていくわけです。
アレルゲンに触れないことが第一です。アレルゲンが特定できた場合には、その成分を避けることで化粧かぶれを回避することができます。
現在、化粧品の容器や外箱には、全成分が表示されているため、自分のアレルゲンが含まれているかどうかを確認することもできます。
ただし、成分名はさまざまな形で表記されているので、詳細はメーカーに確認ください。(2008年4月からは化粧品工業会の自主基準により医薬部外品の成分表示もスタート)
アレルゲンを避けても、化粧品を実際に使ってみると、肌に合わない場合もあります。そこで、ここでは簡単にできる「使用テストの方法」をご紹介します。
使用テストの方法
アレルゲンに的確に反応するのは皮膚のやわらかい腕の内側です。
この部分に、清潔な手で化粧品(100円玉大)をイラストのように3カ所に塗布してください。
※洗顔料、石けん、シャンプーなどは水で泡立てたものを塗布し、1~2分後に洗い流します。この間、入浴はOK。ただし化粧品を塗布している腕の内側は洗浄剤などで強くこすらないように。4日間ほど様子をみて問題なかったら、顔に使用します。
香料・色素・ラノリンアルコール(乳化剤)・ヘアダイの染料(PPDA)・金属などが多く報告されています。これらの物質は、化粧品だけでなく食品や薬品、衣料品などに含まれていることもあるので、日常生活でも十分ご注意ください。
汗をかいて、赤みが出たり痒みを感じやすいことはありませんか?
汗自体がその原因となっている場合もありますが、汗によって溶け出した金属が原因のことも。
金属はそのままの状態では問題ありませんが、汗などにより溶け出すことで、金属にアレルギーを持った方であれば、トラブルを起こしやすくなります。
身に付ける金属としてまず思いつくのは、アクセサリーです。
金属アレルギーは、金属に不純物として含まれるコバルト・ニッケル・クロムなどが原因となることが多いため、メッキなど純度の低いものほどアレルギーが出やすいといえます。
アクセサリー以外には、たとえば、時計のベルトやバッグの持ち手などの革製品。これは、光沢を出すために革をなめす際、クロムという金属を使用しているためです。
また、歯科治療の際の詰め物によって金属アレルギーが引き起こされることもあります。
無関係に思われる化粧品と金属ですが、実はメイク製品や日焼け止めなどに色素として使用される「酸化鉄」の中に、不純物としてコバルト・ニッケル・クロムなどの金属がほんのわずかに含まれます。
したがって、メイク製品や日焼け止めをつけて赤み・痒みなど、かぶれの症状が出る場合、金属アレルギーも可能性のひとつとして考えられます。
また、既に金属アレルギーであるとわかっている場合は、化粧品選びも慎重に行いましょう。
何を使っても刺激やかゆみを感じる私は、「化粧品アレルギー」なんでしょうか?
すべての化粧品にアレルギーをもっている人は稀だといえます。
いま使っている化粧品すべてに刺激を感じるならば、メイクアップ製品も含めて使用を中止しましょう。
それでも症状が落ち着かない場合は、化粧品以外の理由が考えられるので皮膚科専門医にご相談ください。
ワンポイントアドバイス
かぶれの理由が化粧品であろうとなかろうと、赤み・かゆみがある時に化粧品を使えば過敏に反応してしまいます。
本来肌に合っている化粧品であっても、さらに症状の悪化を招いてしまいます。
また、過度のマッサージ・洗顔のしすぎで肌本来のバリア機能が壊された場合も、同様のことがおこります。
化粧品が合っているか合っていないかを判断するためには、まず症状を回復させることを第一に考えてください。
赤み・かゆみがひどくなっています。化粧品のせいでしょうか?
それともアトピーのせいですか?
化粧品でかぶれた場合も、アトピー性皮膚炎の増悪期(※) も症状が似ているので、この場合、両方のケースが考えられます。そんな時は、まず化粧品の使用を中止して肌を安静にすることが大切です。
すぐに症状が良くなるならば、化粧品に原因がありそうです。反対にいつまでたっても状態が良くならないならば、アトピー性皮膚炎の症状の悪化が考えられますが、まずは皮膚科専門医の診断を受けることをおすすめします。
ワンポイントアドバイス
アトピー性皮膚炎の治療を補助する意味で、(スキンコントロール)=(清潔)(保湿)の考え方を取り入れたスキンケアは不可欠です。ただし、これは比較的状態が安定している寛解期(※)に限っていえること。
症状が悪化している時は、普段は刺激を感じない化粧品も負担になる場合があります。
皮膚科専門医とよく相談の上、化粧品を使うようにしてください。※増悪期 ・・・ アトピー性皮膚炎が悪化してかゆみ・発疹などの症状がある時期。
※寛解期 ・・・ アトピー性皮膚炎の症状が落ち着いて肌が安定している時期。
化粧品の香料にかぶれる体質だと言われました。
治療で状態がよくなったのですが、もう化粧品は使わない方がよいですか?
一度アレルギー反応を起こすと、大抵はその拒絶反応が一生続きます。
症状が治まっても、アレルギーの原因になった香料が含まれている化粧品の使用は避けてください。
治療で肌の状態がよくなったとしても、またアレルゲンに接触すれば同じような症状を繰り返し、肌の状態は一気に悪化してしまいます。ただし、化粧品が全部ダメと考えてしまうのは早計です。
ワンポイントアドバイス
アレルゲンがはっきりしている場合、その物質に触れさえしなければ、健康な肌の人と同じように化粧品を使うことができます。たとえば、香料にかぶれるならば、香料が全く含まれていない化粧品を使用すればよいのです。
つまり、アレルギーの原因である「アレルゲン」をきちんと把握して、日常生活でいかに避けるかが重要。
化粧品だけでなく日常生活でもこの点を心がけるようにしましょう。
花粉症などのアレルギー症状がある時期、
化粧かぶれを起こしやすいって本当ですか?
本当です。花粉症などのアレルギー症状が出ている時は、角質層の水分量が低下しています。
そのため、肌がカサついたり、バリア機能が著しく低下。いつも以上に刺激に過敏に反応してしまうことがあります。
こういった時期は、普段は何ともなかった化粧品が刺激になったり、アレルギーをひき起こす可能性があります。
はじめて化粧品を試すなら、花粉症の症状が治まってからの方がよいでしょう。
数多くの製品の中から選んだ化粧品。本当は肌に合っているのに、花粉症の影響で「合っていない」と決めつけてしまうのはもったいないこと。自分のベストを見つけるために、アレルギーが起きにくく体調がよい時期を選んで、化粧品をお試しになってみてください。
敏感肌のためのアレルギー読本より(監修 医学博士:中山秀夫)